真狩村のゆりねと「北のやさい便」|北海道の大地が育む、特別な根菜の物語
2025年04月24日
ゆりねとは──繊細で、上品で、実は“北海道の野菜”
ゆりね(百合根)は、日本料理、特に和食や懐石の世界で古くから重宝されてきた高級野菜です。
白くて丸い花びらのような鱗片、口の中でほろりとほどけるやさしい食感、そして加熱することで引き立つ自然な甘み──ゆりねは、他のどの根菜とも異なる魅力を持ちます。
そんなゆりねの国内生産の99%以上を担っているのが北海道。
中でも特に品質の高いゆりねが育つ場所として知られているのが、北海道南西部の小さな農村・人口約2,000人弱の真狩村(まっかりむら)を中心とする羊蹄山麓の地域です。
■全国のゆりね生産量と真狩村の位置づけ
京都のイメージもあるゆりねですが、農林水産省の統計によると、令和2年、全国のゆりねの収穫量は約1,060トンで、そのほぼすべてが北海道産です。
他府県での生産は極めて少なく、事実上、ゆりねは北海道の特産野菜といえます。
その北海道内でも、真狩村は小さな農村でありながら、実に道内作付の約3割を占める主要産地。
真狩村のゆりね生産農家数は67戸、作付面積24ha、総生産量561t(平成26年度 真狩村調べ)と報告されています。
■ 北海道以外のゆりね生産地(少量栽培)
北海道以外でも一部の地域でゆりねの栽培が行われていますが、生産量・安定供給の面では北海道に遠く及びません。以下に代表的な産地を紹介します。
① 青森県(津軽地方など)
北海道に次ぐ生産量を持っていた時期もありますが、現在は生産者の高齢化と手間の多さから減少傾向。
主に地元での消費や、直売所向けの小規模出荷が中心です。
② 長野県(中野市、飯山市など)
標高の高い冷涼地で、寒暖差を活かしたゆりね栽培が行われています。
一部は料亭や加工業者に出荷されていますが、大きな産地ブランドには育っていません。
③ 岐阜県(高山市など)
飛騨地方の伝統野菜のひとつとして、細々と栽培が続けられています。
しかし、栽培面積は非常に小さく、市場での流通量はごくわずかです。
④ 京都府(京丹後市など)
「京野菜」のブランド化の一環として、ゆりねの栽培にも取り組まれています。
高級料亭や観光地向けの特殊な用途には対応していますが、流通量は限られ、業務用としての安定供給は難しい状況です。
■ 北海道が“ゆりね一強”であり続ける理由

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上記の通り、北海道以外でも少量栽培はあるものの、
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広い農地
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火山灰土壌
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冷涼な気候
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長期栽培に適した環境
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技術継承された生産体制
といった条件が揃うのは真狩村を含む北海道のみです。
ゆりねという繊細な作物の品質・安定供給・加工対応すべてを備えているのが、北海道産の強みです。
■ 真狩村と「北のやさい便」──ルーツがつなぐ信頼の流通
私たち「北のやさい便」を運営する株式会社マカリイという社名は、実はこの真狩村の地名が由来です。
創業者が真狩の地を訪れ、その自然・人・農の力強さに深く感銘を受けたことがきっかけでした。
以来、私たちはこの地域との縁を大切にしながら、農家とのパートナーシップを築いてきました。
ゆりねの魅力を最大限に活かし、それを必要とする全国の現場へ届けること──それが「北のやさい便」の役割です。
■ ゆりねを主役にする一皿のために
ゆりねは、決して目立つ存在ではありません。
けれど、その奥ゆかしさが、料理に深みと品格を与えてくれます。
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茶碗蒸しの中で、そっと香るような存在感
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かき揚げの中で、ほくっと広がる甘さ
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白和えやすり流しで、やさしく心を包むやわらかさ
私たちは、そんなゆりねの魅力を最大限に引き出すために、鮮度・状態・カット方法まで細やかに対応しています。
■ これからのゆりねの流通を、持続可能に
真狩村を含む北海道のゆりね産地では、近年生産者の高齢化や後継者不足が課題となっています。
栽培には年単位の時間が必要であり、今後も安定的に供給するには、産地と流通が連携した取り組みが欠かせません。
「北のやさい便」では、単に商品としてのゆりねを扱うのではなく、その背景にある土地と人の努力を理解し、未来につなぐ流通の在り方を目指しています。
■ ゆりねを使うすべての現場へ──「北のやさい便」からのご提案
「季節感のある一品を加えたい」
「手間なく、高級感ある素材を取り入れたい」
「確かな産地とつながって仕入れたい」
そんなお声に、私たち「北のやさい便」は真狩村から届いたゆりねでお応えします。
業務用の調理現場に合わせたご提案が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。