野菜仕入れの相見積もり比較表|規格・ロット・納期をそろえる手順
2026年09月25日
野菜の仕入れで相見積もりを取り、比較表を作るときに最初にやることは、金額を並べることではありません。
規格・数量・納品条件・欠品時の扱いという前提をそろえてから、はじめて単価が意味を持ちます。前提がずれたままの表は、安く見えた会社が実は発注できない、という結論に行き着きがちです。
この記事では、依頼段階での条件の指定、比較表に入れる項目、箱単位からkg単価へ直す考え方、歩留まりを含めた実質単価、そして社内説明に残す判断根拠までを手順として整理します。
全体の流れは次の順番になります。
- 依頼前に品目・規格・数量・納品条件を自社側で固める
- 同じ書式で見積依頼を出し、回答期限を伝える
- 期限で締めて回答を回収し、未回答や条件違いを分けておく
- 単位をそろえてkg単価または1食あたりに換算する
- 価格以外の評価軸を点数化して並べる
- 選定理由と懸念を記録し、次回の依頼条件に反映する
目次
野菜の仕入れで相見積もりが比べにくくなる理由
同じ品目で同じ数量を聞いたはずなのに、返ってきた見積書がまるで違う形をしている。青果の相見積もりでは珍しくない場面です。
表計算ソフトを開いて三社分を打ち込み始めたところで手が止まる。この比べにくさは、担当者の整理能力の問題ではなく、青果という商材の構造から来ています。

単位と規格が各社で違う
箱で答える会社、ケース単価で答える会社、玉数や入り数で答える会社が混在します。同じ10kg入りでも、階級が違えば1個あたりの大きさは変わり、1個あたりの単価も変わります。
さらにサイズ区分の呼び方は産地や出荷団体によって幅があります。文字の上では同じ表記でも、実物の大きさが一致しているとは限りません。
階級呼称と箱内容量をそろえないと単価が狂う
たとえば同じ品目でLや2Lといった階級表記が使われていても、この呼び方の基準は産地や出荷団体ごとに幅があります。ある産地の2Lが別の産地のLと近い重さになることもあり、階級名だけで大きさをそろえたつもりでも、実際の1個の重量は一致しません。
比較表を作るときは、階級名ではなく1個あたりのおおよその重量と、箱に入っている個数の両方を各社に確認します。この二つから、1個あたり・1kgあたりの単価を計算し直します。
箱の外側の価格だけを並べると、実は小さい階級を安く見せている表になってしまうことがあります。
価格の前提期間が示されていない
青果は相場で動く品目と、期間を決めて固定で出せる品目が混ざります。前者の見積を、有効期限の記載がないまま表に入れると、比較表そのものが数日で古くなります。
価格を比べるなら、その価格がいつまでのものか、改定するときは何日前に連絡が来るのかを必ず並べて記録しておきます。
含まれる作業範囲が見えない
泥付きか洗浄済みか、原体かカット済みか、段ボールかコンテナ返却かで、見積の範囲は変わります。範囲が違う金額を同じ列に置けば、順位はいくらでも入れ替わります。
見積依頼の段階で条件をそろえておく
比較表の精度は、表を作るときではなく見積依頼を出すときに決まります。相見積もりの依頼の書き方を整えるだけで、後の手戻りは大きく減ります。
品目・規格・数量の書き方
品目名、希望するサイズ区分、1回の納品数量、月間のおおよその数量を分けて書きます。数量は箱ではなく重量か個数で示し、単位も自社側で指定しておきます。
用途も一行添えると回答の質が上がります。刻んで加熱するのか、生で盛り付けるのかで、各社が提案できる規格が変わるためです。
回答書式と提出期限
列の並びを自社の書式に合わせてもらうのが理想ですが、難しい場合は重量あたりの単価、箱内容量、最低発注数量の三つだけは必ず記載してもらう形でも構いません。
税抜表示に統一し、支払条件も回答欄に入れておきます。提出期限を切り、依頼中・回答済み・辞退の状態を一覧で管理すれば、未回答を放置したまま判断する事故を防げます。
価格の有効期間を明記してもらう
有効期限の欄を空欄で返されたら、そこは必ず埋めてもらいます。期間固定なのか、週ごとの改定なのか、相場連動なのかを分けて書いてもらうだけで、比較表の使える期間が見えてきます。
比較表の列としては、価格と有効期限を隣に置くだけでなく、改定のルールも別の列として分けておくと運用がしやすくなります。相場に連動する品目なら市場価格に応じて週明けに見直す、期間固定で出せる品目なら向こう三か月は同一価格といった具合に、品目ごとに書き分けてもらいます。
同じ表の中に固定品目と相場品目が混ざっていても、この列を分けておけば、どの数字がいつまで有効かを毎回確認し直さずに済みます。
比較表に入れる項目一覧
業務用野菜の見積依頼を横並びにする比較表の項目は、四つの区分に分けて考えると漏れにくくなります。列が多くなりすぎる場合は、区分ごとにシートを分けても構いません。
| 区分 | 項目 | 確認の狙い |
|---|---|---|
| 基本項目 | 品目名・品種、規格(サイズ区分)、単価と単位、数量、合計、有効期限、税の別、支払条件 | 金額の土台がそろっているかを確認する |
| 規格・数量 | 箱内容量、入り数、産地、最低発注数量、発注単位、ロットの考え方 | 表示された単価で実際に発注できるかを見る |
| 納品条件 | 納品可能な曜日、発注の締め時間、リードタイム、納期の幅、配送単位、荷降ろし条件 | 現場の仕込み時間に間に合うかを判断する |
| 品質・対応 | 産地表示の方法、温度管理、荷姿、検査や履歴の記録、欠品時の代替品、産地変更の連絡、担当者の応答速度 | 切り替えた後に起きる手間を先に見積もる |
最低発注数量は、単価の隣ではなく独立した列として置きます。単価が低くても1回の発注量が自店の使用量を超えていれば、保管場所と廃棄が増え、実質の負担は上がるためです。
欠品時の扱いも列として立てます。同等品への差し替えを認めるかどうか、差し替え時の連絡方法、欠品分の精算をどう処理するかは会社ごとに差が出やすく、後から揉めやすい部分です。
項目を並べていくうちに、自社が本当に必要としている規格や数量が固まりきっていないと気づくこともあります。その段階で産地側に用途を伝え、対応できる形を聞きながら条件を詰めていく進め方も選べます。

四区分のうち、担当者ごとの書き方の差がもっとも大きく出るのは品質・対応の部分です。ここは列の立て方を先に決めておきます。
欠品時の代替品対応を独立した列にする
欠品時の扱いは、各社の対応方針の差が大きく出る部分です。同等品への差し替えを承諾なしで行う会社もあれば、必ず事前確認を入れる会社もあります。
産地を変更した場合の連絡方法も、事前に電話で知らせる会社と、納品書に記載するだけの会社があり、現場が気づくタイミングが変わります。
欠品分をどう精算するかも確認しておきます。欠品した分だけ減額するのか、代替品の差額を別途調整するのか、次回の納品でまとめて調整するのかは会社ごとに運用が異なります。
比較表にこの三点を列として立てておくと、金額が近い会社同士を選ぶときの決め手になります。
単位をそろえてkg単価・1食単価に直す
kg単価の比較に直す作業は、比較表づくりで最も手間がかかり、最も効く工程です。ここを飛ばすと、箱の大きさが違うだけで順位が入れ替わります。
箱単価からkg単価へ
箱やケースで返ってきた金額は、正味重量で割って重量あたりに直します。玉数や入り数だけが書かれている場合は、その階級の平均的な1個の重さを各社に確認してから割ります。
1食あたりで比べたいときは、レシピ上の使用量を基準に置き換えます。仕込み量が決まっているメニューなら、この形のほうが原価表とそのままつながります。
歩留まりを踏まえた実質単価
次に歩留まりの比較を重ねます。重量あたりの単価を可食部の割合で割り戻すと、使える状態にしたときの単価が出ます。
泥付きと洗浄済み、皮付きと剥き身では、ここで差が開きます。廃棄量が増えれば処理費も増えるため、廃棄の量も合わせて記録しておくと後の説明が楽になります。
実質単価の計算方法を式で確認する
歩留まりを踏まえた実質単価は、次の式で確認できます。
実質単価 = 重量あたりの納入単価 ÷ 可食部の割合(歩留まり)
この式に各社の数字を当てはめると、泥付きや皮付きのまま届く品目ほど、実質単価が納入単価よりも大きく上がりやすい傾向が見えてきます。
逆に、あらかじめ洗浄やカットがされている品目は、納入単価そのものは高くても、この式を通すと差が縮む場合があります。どちらが有利かを判断する前に、まずは同じ式で全社の数字をそろえておくことが比較の土台になります。
可食部で単価を比べる考え方そのものは、凍結品でも同じように使えます。カット形状や内容量から実質単価を出す手順は、用途別に見る冷凍野菜の規格と選び方でも整理しています。
カット品と原体を同じ軸で比べる
カット品は納入単価が高く見えますが、下処理の作業時間が減ります。作業時間の差を人件費に置き換えて加えると、原体のほうが高くなる場合があります。
どちらが有利かは、厨房の人員、機材、当日の作業の集中度で変わります。納入単価の順位と、使える状態までの合計の順位は一致しないことがあるという前提で表を読むのが要点です。
下処理の作業時間だけでなく、保管スペースや廃棄コストも合わせて見ておくと判断がさらに安定します。原体は保管に場所を取り、皮や芯といった廃棄物の量も増えるため、その処理にかかる手間や費用も原価の一部として意識しておく必要があります。
逆にカット品は保管スペースを抑えられる一方、劣化が早い場合があり、使い切れずに廃棄する量が増えると実質単価は上がります。どちらの形態も、単価だけでなく使い切れる量で届くかまで含めて比較するのが望ましい進め方です。
価格以外の評価軸を点数化して判断根拠を残す
金額の換算が終わったら、残りは定性的な部分です。評価軸を決めて点数化しておくと、後から見ても判断の筋道がたどれます。
自社の優先順位から配点を決める
配点は答えを機械的に出すための道具ではなく、自社が何を優先しているかを見える形にするための作業です。合計点が近いときは、点数ではなく配点の理由に戻って議論します。
用途によって重く見る項目が変わる
同じ比較表でも、業種によって重みは変わります。
- 飲食店:少量多品目に対応できるか、締め時間の遅さ
- ホテル:見た目のそろい、宴会時のスポット数量への対応
- 給食:規格の安定、産地表示と記録、欠品の発生時の代替手順
- 食品加工:歩留まり、規格外の受け入れ可否、まとまった数量の継続性
- 仲卸・納品業者:荷姿、出荷情報の連絡の早さ、配送単位
選定理由と懸念をメモとして残す
採用した理由と、採用しなかった理由を各社の行に一行ずつ書き添えます。稟議に上げるときも、担当が替わるときも、この一行が効いてきます。
懸念も同じ欄に残します。半年後に問題が起きたとき、想定内だったのか想定外だったのかが分かるだけで、次の判断が早くなります。
よくあるつまずきと打ち手
| 起きること | 原因 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 回答が揃わず比較できない | 依頼書に単位と書式の指定がない | 重量あたりの単価、箱内容量、最低発注数量を必須欄にする |
| 単価は安いのに発注できない | 最低発注数量と発注単位を確認していない | 単価の隣ではなく独立した列で管理する |
| 表を作った直後に価格が変わる | 有効期限と改定ルールを聞いていない | 価格の欄と有効期限の欄を必ず対で埋める |
| 原価が下がらない | 歩留まりと下処理の差が入っていない | 可食部で割り戻した単価と作業時間を併記する |
| 採用理由が後から説明できない | 判断根拠が担当者の記憶にしかない | 各社の行に理由と懸念を書いて保存する |
| 手間ばかりかかって効果が薄い | 少額品目まで全部相見積もりに回している | 金額の大きい品目と使用頻度の高い品目から着手する |
対象品目の絞り込みは最初に決めておきます。年間の使用金額が大きい品目、毎週使う定番品、欠品すると献立が回らない品目の三つに限定するだけでも、整理にかける時間は回収しやすくなります。
書式は毎回作り直さず、前回の表を雛形として使い回します。テンプレートが個人の手元にしかない状態は、担当が動いた瞬間に比較の基準が消える原因になります。
比較表を一度作って終わりにしない運用
見積条件と実際の納品を突き合わせる
比較表の右端に、実績を書く欄を足します。欠品の有無、規格の振れ、遅延の回数を月ごとに書き足していくだけで十分です。
見積時に約束された条件が実際の納品で守られたかどうかは、次回の相見積もりで最も参考になる情報になります。
実績欄に書く内容は、特別なフォーマットを用意する必要はありません。納品日、欠品の有無、規格の振れ、遅延の回数を、比較表の同じ行に月ごと追記していくだけで足ります。
半年ほど積み重ねると、どの会社が見積時の条件を守れているか、どの会社が相場変動時に連絡が遅れがちかといった傾向が、感覚ではなく記録として見えてきます。
見直すタイミングの目安
毎月作り直す必要はありません。メニュー改定、季節の品目の切り替わり、主要な産地が入れ替わる時期を目安にすると、労力に見合います。
作型や出荷の時期の傾向は、農林水産省が公表している野菜の生育状況及び価格見通しの公表資料や、各道府県や産地の出荷見通しに目を通しておくと、依頼のタイミングを決めやすくなります。
品目ごとの出回り時期そのものを確かめたいときは、北海道産野菜の旬カレンダーのような一覧を手元に置いておくと、依頼書を作る時期の目安が立てやすくなります。
次回の依頼条件に反映する
実績欄に残った課題は、そのまま次の依頼書の条件に変わります。欠品が続いたなら代替品の扱いを、規格の振れが気になったならサイズ区分の指定を、より具体的に書き込みます。
比較表が依頼書を育て、依頼書が比較表の精度を上げる。この往復ができると、仕入れ先の見直しは毎回ゼロからの作業ではなくなります。
相見積もりの対象品目を絞る判断軸
品目をすべて相見積もりに回すと、依頼書の作成、回答の回収、単位の換算という作業がそのまま品目数に比例して増えていきます。
担当者一人が抱えられる時間には限りがあるため、どの品目から手をつけるかを先に決めておくことが、比較表を運用し続けるための前提になります。
判断の軸は大きく三つです。年間の使用金額が大きい品目、毎週使う定番品、欠品すると献立や仕込みが止まる品目です。
この三つに当てはまらない、使用量が少なく代替が利きやすい品目まで毎回相見積もりに回すと、削減できる金額よりも人件費のほうが大きくなることがあります。
使用金額の上位から着手し、運用が定着してから対象を広げていけば、途中で作業が止まっても影響は小さく抑えられます。絞り込みの結果は比較表の対象品目欄に反映させておくと、次回に同じ議論を繰り返さずに済みます。

主要品目の条件が固まってくると、依頼書の書き方も、社内での説明の仕方も定まってきます。ここまで進めば、比較表は単価を並べる表から、仕入れの判断を記録する台帳に変わります。
よくある質問
野菜の相見積もりは何社くらいに依頼するのが妥当ですか
品目数と発注頻度によりますが、回答を読み込んで条件を確認できる範囲に留めるのが現実的です。社数を増やすほど回収と整理の工数がふくらみ、かえって比較の精度が落ちます。
単価が各社ばらばらの単位で返ってきたときはどうしますか
箱、ケース、玉数といった表記を、いったん重量あたりか1食あたりに直してから並べます。もっとも手戻りが少ないのは、依頼の段階で単位を指定しておくやり方です。
青果は相場で動くのに比較表を作る意味はありますか
意味があるのは価格そのものより、規格、最低発注数量、納品頻度、欠品時の対応といった条件を固定して比べられる点です。価格は有効期間とセットで記録し、期間が過ぎたら数字だけ入れ替えます。
比較表はどのくらいの頻度で見直すべきですか
品目の切り替わりやメニュー改定のタイミングが目安です。あわせて、見積条件が実際の納品で守られたかを記録しておき、次の依頼に反映させます。
欠品時の代替品対応は比較表のどこに書けばよいですか
比較表の品質・対応の区分に、同等品への差し替え可否、産地変更時の連絡方法、欠品分の精算方法を独立した列として設けます。金額が近い会社を選ぶときの決め手になりやすいため、価格の列とは別に必ず残しておきます。
安い会社を選んだのに原価が下がらないのはなぜですか
歩留まりの差、下処理にかかる時間、欠品時の緊急手配の手間が加わるためです。納入単価ではなく、使える状態にするまでの合計で見ると順位が変わることがあります。
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北のやさい便が選ばれる理由
比較表を作っていて手が止まるのは、多くの場合、自社が本当に必要な規格と数量が言葉になっていないときです。相見積もりは、相手に投げる前の自社側の整理が、そのまま結果に出ます。

逆に言えば、数量や規格が固まりきっていない段階でも、用途から相談しながら条件を詰めていく進め方はできます。どの大きさが向くのか、原体とカット品のどちらが現場に合うのか、納品の締め時間をどこに置けるのか。こうした点は、実際の使い方を聞かなければ決められません。
当社は北海道産の青果を業務用として扱う立場から、品目や時期、必要な数量に応じた条件の整理からご相談を承っています。価格やロットは商品・時期・数量などによって異なるため、まずは使い方と希望条件を伺うところから始めます。
飲食店やホテル、給食、仲卸、食品加工と、比較表で重く見る項目は業種ごとに異なります。業務用野菜の卸売・産地直送のご案内では、対応できる範囲や進め方の考え方をまとめていますので、比較表の項目を固める前の参考にしていただけます。
仕入れ先の見直しは、一度きりの価格交渉ではなく、翌年以降も同じ品質で回し続けられるかという投資の判断でもあります。条件をそろえる段階からご一緒できれば、比較の結果はそのまま社内で説明できる材料になります。
次の相見積もりで迷わないために、必要な規格や数量についてお問い合わせください。

「北のやさい便」は、北海道産野菜の卸売・仕入れのスペシャリスト集団です。
札幌中央卸売市場をはじめ、北海道の真狩村をはじめ、全国の農家さんとの独自のネットワークを活かし、鮮度と品質にこだわった旬の野菜情報を発信しています。
飲食店や食品加工メーカー様の「美味しい野菜を安定して届けたい」という想いに応えるため、市場の相場情報や野菜の豆知識を、現場の視点からお届けします。




