年末年始の野菜仕入れ|市場の休市と発注スケジュールの組み方
2026年10月13日
野菜の仕入れは、年末年始だけ別のルールで動きます。市場の休市が重なり、発注スケジュールを普段のまま回すと、どこかで必ず欠品が出ます。
結論から書きます。年末年始の休市は全国一律ではなく、市場ごと・部門ごとに違います。仕入れる市場の開設者が公表するカレンダーを手元に置き、納品日ではなく発注日から逆算して決めるのが確実な方法です。
この記事では、止市と初市の意味、青果部と水産物部で休みがずれる場合の読み方、12月中旬から年始までの発注の組み立て、そして前倒しで押さえるか初市を待つかの判断軸までを順に整理します。
目次
年末年始の青果仕入れでつまずくのはどこか
12月に入ると、担当者の頭の中では二つの数字が同時に動き始めます。年末の売上ピークに必要な数量と、年始の再開日までに切らしてはいけない最低在庫です。この二つは、休市日をはさむと簡単にずれます。
止市と初市の間に起きること
年内最後の取引日を過ぎると、数日から一週間ほど、市場での仕入れがまったくできない期間が生まれます。仲卸に在庫が残っていても、品目も規格も選べる状態ではありません。
さらに厄介なのは、その直前です。年末は需要が集中するため、入荷量に対して引きが強くなり、相場が動きやすくなります。つまり休みに入る前に多めに押さえるという判断そのものが、コストと品質の両面でリスクを抱えます。
結論はカレンダーからの逆算で決まる
年末年始の営業日程は、毎年決め直されます。昨年のカレンダーを使い回すと、一日ずれるだけで納品日が飛びます。
やるべきことは三つです。仕入れる卸売市場の公表カレンダーを部門別に集める。稼働再開日を業態の実情に合わせて確定する。その二つの間を、発注日ベースで埋める。以下はこの順番で説明します。

休市日はどう決まるのか|止市・初市・臨時開市の意味
前提として、休市日は市場を開設している自治体などの開設者が、業務規程にもとづいて定め、カレンダーとして公表します。国が全国分をまとめて決めているわけではありません。制度の全体像は卸売市場に関する農林水産省の情報でも整理されています。
休市日と臨時休市・臨時開市
一般に、中央卸売市場では日曜日と祝日が休みとされ、取引が行われる日を開市日と呼びます。これに加えて、水曜休市のように週の途中の休みが年間の中で指定されることがあります。
こうした日は臨時休市として扱われ、指定される日も回数も市場によって違います。反対に、本来は休みの日に取引を行う臨時開市もあります。
年末の需要期には、日曜や祝日にあたる日でも臨時開市が設定される場合があります。日曜だから休みだろうと決めつけると、貴重な一日を取り逃がします。

止市と初市という呼び方
年内最後の開市日を止市、年明け最初の開市日を初市と呼ぶのが現場の言い方です。市場によっては別の呼称を使う場合もありますが、意味するところは同じです。
初市は式典を伴うことも多く、取引の開始時間が通常と異なることがあります。到着時間や引き取り時間を普段の感覚で組むと、その日だけ回りません。
毎年決め直されるという前提
翌年分のカレンダーは、おおむね秋のうちに公表される市場が多く見られます。つまり年末年始の計画は、12月に入ってから慌てるのではなく、秋の段階で着手できます。
複数の市場や仲卸を使っているなら、公表が出そろった時点で一度まとめて突き合わせておくと、後の調整がかなり楽になります。
青果と水産で休む日がずれる|部門別カレンダーの読み方
意外に見落とされるのが、部門差です。同じ市場の中でも、青果部と水産物部で開市日数が異なる場合があります。
青果部だけが休む日がある
取り扱う品物の性質が違うため、休市の入れ方も部門ごとに最適化されています。青果部は休みでも水産物部は開いている、あるいはその逆という日が生まれます。
飲食店やホテルのように両方を仕入れる事業者は、片方のカレンダーだけを見て全体の日程を組むと、必ずどこかで取り違えます。
部門別に別のカレンダーを取る
手順は単純です。部門ごとに別の資料として入手し、別の列として管理します。
| 確認項目 | 青果部 | 水産物部 |
|---|---|---|
| 年内最終の開市日 | 公表カレンダーで確認 | 公表カレンダーで確認 |
| 年始最初の開市日 | 同上(青果部の表記を見る) | 同上(水産物部の表記を見る) |
| 期間中の臨時開市 | 設定される場合がある | 設定される場合がある |
| 週途中の臨時休市 | 部門ごとに指定が異なる | 部門ごとに指定が異なる |
もう一つ、地味ですが重要なのが凡例です。カレンダーは色や記号で開市日・休市日・臨時開市を区別しているため、凡例の意味を取り違えると表全体の読み方が逆になります。
12月下旬の入荷はどう変わるか
休市日を押さえただけでは足りません。開市していても、年末に近づくほど市場に並ぶものが変わっていきます。
産地の出荷終盤と選果の動き
産地側も年末年始は動きを落とします。選果場や集荷の稼働が縮小すれば、そこから先の入荷量は当然絞られます。
北海道産の青果は品目によって出荷の時期が大きく違い、秋に終わるものと貯蔵しながら冬を越すものがあります。品目ごとの出回り時期は北海道産野菜の旬カレンダーで確認できます。年末に手に入りやすいかどうかは、品目ごとに事情が分かれます。
品目数が絞られる時期の代替案
量だけでなく、規格もそろいにくくなります。指定していたサイズが確保できず、一段階上か下で通してもらうという場面が増えます。
ここで固まってしまうと、発注そのものが止まります。あらかじめ、どの品目はサイズ変更を受け入れ、どの品目は産地を替えてでも規格を守るのかを決めておくと、当日のやり取りが早く終わります。
代替案は困ったら考えるものではなく、12月中旬の時点で表に書き込んでおく項目です。
発注スケジュールの組み方|12月中旬から年始までの逆算
組み立てのコツは一つだけです。納品してほしい日ではなく、その納品を成立させる発注日から数えます。締め時間とリードタイムの基本的な数え方は、配送リードタイムと発注締め時間の解説で詳しく説明しています。
12月中旬:数量と品目の確定
この時期にやることは、確定と共有です。年末のメニューや献立、催事の数量を固め、必要な品目と規格を一覧にします。
同時に、止市と初市の日付、期間中の臨時開市を発注表に書き込みます。ここが埋まっていないと、後の判断がすべて勘になります。
12月下旬:止市前の最終発注
最終発注は、止市当日ではなく、そこに間に合う発注日で押さえます。品目数が絞られる前提で、優先順位の高いものから確保します。
年始の初動分も、この段階で見込みを伝えておくと動きが変わります。数量が固まっていなくても、必要になる時期と品目だけでも先に共有しておく価値があります。
年始:初市に向けた仕込み
初市の分は、取引時間が通常と違う可能性を織り込んで組みます。引き取りから仕込みまでの時間が短くなるなら、下処理の工程を前日側へ寄せるのが現実的です。
部門別カレンダーを1枚の発注表にまとめる
複数部門を扱うなら、表を分けずに統合します。横軸に日付を一列だけ置き、縦に必要な情報を積みます。
具体的には、まず青果部と水産物部それぞれの公表カレンダーをPDFなどで入手し、開市日・休市日・臨時開市の別を色分けやマークで区別します。次に、その二つを1本の日付軸の上に重ね、両方が休みの日、片方だけ休みの日、両方とも開いている日の三種類に振り分けます。
ここまでできれば、あとは自社の営業日・休業日をさらに重ねるだけで、どの日に何を発注できるかが一覧で見える表になります。
紙の卓上カレンダーに書き込む方法でも、表計算ソフトで管理する方法でも構いませんが、部門ごとに別々の紙やファイルのまま持たないことが最大のポイントです。担当者が変わっても同じ表を見れば判断できる状態にしておくと、年末の慌ただしい時期でも確認の手間が減ります。
| 行 | 書き込む内容 |
|---|---|
| 青果部の開市/休市 | 開いている日に印を付ける |
| 水産物部の開市/休市 | 同じ日付の列に別行で付ける |
| 自店・自社の稼働 | 営業日、休業日、催事日 |
| 発注日 | その納品を成立させる発注の締め |
| 在庫の谷 | 手持ちが最も薄くなる見込み日 |
日付の列を一本にするのが要点です。部門別に別紙で持つと、両方が休む日と片方だけ休む日の区別が目で追えません。
在庫の谷を1行入れておくと、どこに前倒しを当てるべきかが自然に浮かび上がります。
前倒しで押さえるか、初市を待つか
年末の相場が上がってきたとき、判断は二つに割れます。高くても前倒しで押さえるか、初市まで待つか。ここは品目ごとに分けるのが現実的です。
日持ちと保管条件で分ける
判断軸は三つあります。休市期間中にその品目を使う量、自社の保管設備で品質を保てる日数、そして代替で通せるかどうかです。
三つとも条件が良ければ前倒しで押さえます。保管日数が足りない、あるいは他の品目で代替できるなら、待つ側に置きます。相場そのものを読むより、自社の保管能力から考えたほうが判断は速くなります。
持ち越しに向かない品目
一般に、低温で乾いた状態を保てる根菜類や、貯蔵を前提に出荷される品目は、比較的余裕を持って持ち越せます。貯蔵性の高い品目の考え方は、北海道の越冬野菜の種類と旬の解説もあわせて参考になります。
一方で、葉が薄く水分の多い葉物類、切り口から傷みが進む品目、収穫後に熟度が進む品目は、数日単位で見た目と食感が変わります。これらを前倒しでまとめて押さえるのは無理があります。
持ち越しに向かない品目は、量を減らして初市を待ち、その間は別の品目で献立を通すと決めておくほうが、結果として無駄が出ません。
具体的にイメージすると分けやすくなります。じゃがいも、たまねぎ、にんじん、かぼちゃといった、もともと貯蔵を前提に出荷される根菜類や果菜類は、温度と湿度の管理さえ守れば年をまたいでも品質を保ちやすい部類に入ります。
一方で、レタスやほうれん草、小松菜などの葉物類、きのこ類、もやしのように収穫後の呼吸量が多い品目は、数日で見た目と食感がはっきり落ちます。
献立や仕様の中でこの二種類が混在している場合は、根菜類・貯蔵性の高い品目を前倒し側にまとめ、葉物類やきのこ類は初市後の入荷を待つという役割分担にすると、保管スペースと品質のバランスが取りやすくなります。
加工度を上げて平準化する
もう一つの手が、加工度の調整です。カットや下処理を済ませた状態で入れれば、休市期間中の作業量を平らにでき、保管する容積も小さくなります。
人手が薄くなる年末年始に、皮むきや洗浄の工程を丸ごと外に出せるかどうかは、在庫計画と同じくらい効く要素です。どの品目をどの形状で入れられるかは、時期と数量によって変わります。12月に入ってからではなく、計画段階で相談しておく話です。
加工度を上げる方法にもいくつかの段階があります。皮むきや芯取りといった下処理を済ませた状態、使う分量にカットした状態、さらに冷凍や真空パックまで施した状態では、休市期間中に必要な作業量も保管に必要な容積も変わってきます。
冷凍や真空パックに対応できる品目であれば、休市をまたいでも品質の変化を抑えながら在庫として持たせやすくなります。在庫の一部を加工度の高い形で確保しておき、残りは初市後の入荷でまかなうという組み合わせ方をすれば、休市期間中の作業負担と在庫リスクの両方を一度に減らせます。
どこまでの加工度が必要かは品目や調理工程によって異なるため、繁忙期に入る前の段階で相談しておくと選択肢が広がります。
判断に迷ったときの追加確認
品目ごとの分類だけでは決めきれない場合は、次の点も合わせて確認すると判断がぶれにくくなります。
まず、直前の相場上昇が一時的な需要の偏りによるものか、供給そのものが細り始めているのかを見ます。前者であれば初市を待って通常価格に戻るのを待つ選択肢が現実的ですが、後者であれば早めに押さえたほうが結果的に安く済むことがあります。
次に、初市直後の相場も高止まりしやすい点を踏まえます。年始は需要が一気に戻る一方で入荷量が絞られているため、初市を待てば必ず安く仕入れられるとは限りません。
前倒しの割高分と、初市後の高止まりや品薄による割高分を比べて、どちらのリスクが自社にとって受け入れやすいかで決めるのが実務的です。
最後に、代替の効く品目かどうかも判断材料になります。献立や仕様変更が難しい品目ほど前倒しの優先度を上げ、代替がきく品目は初市待ちに回すという振り分けが、限られた保管スペースを有効に使う考え方です。
初市後に品揃えが戻るまでの数日をどう埋めるか
初市が立てば通常営業に戻る、という前提で年始を組むと、たいてい一度つまずきます。
産地の出荷再開は段階的
市場が開いても、産地の収穫・選果・輸送が同時に全開へ戻るわけではありません。集荷が積み上がるまでには数日かかり、その間は入荷量も品目数も通常より少ない状態が続きます。
規格の偏りも出ます。サイズがそろわない、箱数が読めないという状況が、初市から数日は残ると見ておくのが安全です。
出荷や選果だけでなく、運ぶ側の事情も影響します。輸送を担うトラック事業者や物流拠点も年末年始は稼働を落としており、便数や積載量が通常どおりに戻るまでには数日かかります。
市場に荷物が届いていても、そこから先の配送が普段より遅れる、あるいは便が限られるという状態が初市直後には起こり得ます。産地の出荷と物流の両方が段階的に戻るという前提で、初市から数日間は注文どおりにいつもの時間に届くことを前提にしない計画を立てておくと無理がありません。
業態別に異なる再開日のずれ
逆算のずれは、業態によって方向が違います。
| 業態 | 年始の立ち上がりで注意すること |
|---|---|
| 飲食店 | 元日前後から営業する店は、初市より先に在庫が必要になる |
| ホテル | 年末年始が繁忙期のため、休市期間の全日分を先に確保する前提で組む |
| 学校給食 | 再開が初市よりかなり後になるため、前倒しよりも再開初週の確保が論点 |
| 福祉給食 | 休みがなく毎日必要なため、休市期間の全日を切らさない設計が中心 |
| 仲卸・納品業者 | 取引先ごとに再開日が違い、同じ日付で全部をそろえられない |
| 食品加工 | 稼働再開に合わせた原料の入荷日が決め手になる |
学校給食は多くの地域で1月上旬に始業するため、初市が立ってからしばらく経ってから稼働が戻るケースが目立ちます。この場合は、前倒しで大量に確保するよりも、再開初週にどれだけ安定して仕入れられるかのほうが計画の中心になります。
反対に、元日から営業する飲食店やホテルの宴会需要は、初市よりも前の期間を自力で乗り切る必要があるため、休市に入る前の確保が計画の軸になります。同じ年始の仕入れでも、業態によって逆算の起点が数日単位で前後する点を押さえておくと、必要以上に早く動いたり、逆に手当てが遅れたりする事態を防げます。
自社の稼働カレンダーと市場の開市日がずれる幅を、日数で書き出しておくことが出発点です。その上で、初市直後に量がそろわない可能性を見込み、代替品目と代替規格を先に決めておきます。年始に電話で探し回る時間を、年内に前倒しするという考え方です。

よくある質問
年末年始の休市日はどこで確認するのが正しいですか
仕入れ先の卸売市場を開設している自治体などが公表する年間カレンダーを、部門別に確認してください。全国で統一されているものではなく、毎年決め直されます。
翌年の市場カレンダーはいつ公表されますか
おおむね秋のうちに公表される市場が多く見られます。年末年始の発注スケジュールは、秋の段階で下地を作れます。
年末は日曜や祝日でも市場が開くことがありますか
あります。需要が集中する年末は臨時開市が設定される場合があり、反対に平日でも臨時休市になる日があります。曜日から推測せず、公表されている開市日で判断してください。
止市の直前にまとめて発注しておけば安心ですか
品目数と入荷量が絞られ、相場も動きやすい時期です。日持ちと保管条件を見て、押さえる品目と初市を待つ品目に分けるほうが確実です。
初市から通常どおりの品揃えに戻りますか
産地の出荷再開が段階的なため、量と規格がそろうまでに数日かかることがあります。年始の献立や製造計画は、その前提で組んでおくと安全です。
休市期間中にカット野菜などの加工品を活用するメリットはありますか
下処理やカットを済ませた状態で確保しておくと、休市中の作業量と保管容積の両方を抑えられます。冷凍や真空パックに対応できる品目であれば、品質の変化を抑えながら在庫として持たせやすくなります。
産地や規格を相談しながら仕入れたい方へ
年末年始の日程管理は、結局のところ、いつ止まるかより、止まっている間に何が要るかの勝負です。カレンダーを正しく読めても、その期間に必要な品目と規格が確保できていなければ、表は絵に描いた計画で終わります。

現場で起きるのは、数量が足りない事態より、規格が合わない事態のほうが多いはずです。指定サイズが取れない、箱の入り数が変わる、産地が切り替わる。年末はこうした変更が重なり、確認の電話だけで半日が消えます。
ここで差が出るのは、産地側の動きをどれだけ早く把握できているかです。どの品目がいつまで出るのか、貯蔵に回る品目は年明けにどのタイミングで動き出すのか。この情報が手元にあると、前倒しと初市待ちの線引きに迷いが減ります。
北のやさい便では、北海道産の青果を中心に、用途と必要数量をうかがったうえで規格や産地の組み合わせをご相談いただけます。取り扱える品目や形状は時期と数量によって変わるため、まずは条件をお聞かせいただく形が確実です。
カットや下処理を含めた形での供給も検討できます。人手が薄くなる年末年始に、洗浄や皮むきの工程を外に出せるかどうかを一度整理しておくと、翌年以降の計画も立てやすくなります。対応できる規格や納品の考え方は、業務用野菜の卸売・産地直送の案内もあわせてご確認ください。
年末年始の仕入れは、秋のうちに動き始めた事業者から順に楽になります。必要な規格や数量が固まっていない段階でも構いません。業務用仕入れについてのご相談として、使いたい時期と用途をお知らせください。
「北のやさい便」は、北海道産野菜の卸売・仕入れのスペシャリスト集団です。
札幌中央卸売市場をはじめ、北海道の真狩村をはじめ、全国の農家さんとの独自のネットワークを活かし、鮮度と品質にこだわった旬の野菜情報を発信しています。
飲食店や食品加工メーカー様の「美味しい野菜を安定して届けたい」という想いに応えるため、市場の相場情報や野菜の豆知識を、現場の視点からお届けします。




