野菜と鶏肉の価格高騰|2026年秋の状況と仕入れ・原価の見直し方
2026年11月06日
2026年11月時点の報道では、野菜と鶏肉の価格高騰が同時に取り上げられています。鶏肉は農林水産省の調査で過去最高値の水準にあり、両方を使う鍋物や定食は、原価が二重に膨らみやすい状況です。
結論から言うと、鶏肉の値上がりは需給や輸入の事情が絡むため長引きやすく、野菜は天候や産地の状況で動きやすい性質があります。値上がりの性質が違うので、同じ対策を当てはめても足りません。
この記事では、鶏肉の価格推移と高騰の理由を公的な調査をもとに整理します。そのうえで、野菜側から原価を組み直す考え方を、業務用の仕入れの目線で解説します。
目次
野菜も鶏肉も高い、いま何が起きているのか
ちゃんこ鍋の報道が映した現場の負担
2026年11月3日、Yahoo!ニュースにFNNプライムオンライン(フジテレビ系)の記事が配信されました。ちゃんこ鍋を扱う現場で、野菜と鶏肉の両方が値上がりしていることが取り上げられています。
鍋は具材の数が多く、主役の肉も脇を固める野菜も欠かせません。片方だけが上がるならもう片方で埋め合わせる余地がありますが、両方が上がると逃げ場が少なくなります。
朝の発注画面を開いた担当者が、先週より鶏肉の単価が上がり、白菜やねぎの単価まで上がっているのを見て手が止まる。鍋物や定食を出している店や施設なら、そんな場面は珍しくないはずです。

値上げに踏み切るか、盛り付けを変えるか、仕入れ先を見直すか。どれを選ぶにしても、先に確かめたいのは、どの値上がりが長引き、どれが短期で動くのかという点です。

鶏肉の値段はどこまで上がっているのか
2026年5月から9月までの月別の動き
農林水産省の食品価格動向調査は、量販店などの店頭で売られている食品の価格を調べ、100グラムあたりの価格として公表しています。鶏肉の価格推移を見るには、まずこの調査が基本になります。
同調査による、2026年5月から9月までの主な月の鶏肉の価格は次のとおりです。
| 月 | 100グラムあたり価格 | 補足 |
|---|---|---|
| 2026年5月 | 154円 | |
| 2026年8月 | 156円 | 2003年8月以降で最も高い値 |
| 2026年9月 | 155円 |
表は主な月を抜き出したものです。6月・7月の値や各月の前年同月比は、同じ調査の月ごとの公表資料で確かめられます。
2026年8月の156円は、2003年8月以降で最も高い値でした。つまり、いま見ているのは過去最高値の水準にある価格です。
9月は155円とわずかに下がりましたが、水準そのものは高いままです。ここで示した数字は2026年9月分までなので、それ以降の月は農林水産省の公表で確かめてください。
2025年11月以降150円台が続いている意味
同じ調査では、2025年11月以降、100グラムあたり150円台の価格が続いています。一時的に跳ね上がったのではなく、高い水準が長く続いていることがポイントです。
1か月だけの急騰なら、次の月の様子を見て発注を調整する手もあります。ところが高止まりが続くと、仕入れ値の変動を前提にしたメニュー設計では収まりません。原価率を月単位で追い、基準にする単価を決め直す必要が出てきます。
なお、店頭価格と業務用の仕入れ価格は同じではありません。部位や規格、納品の条件によって幅があります。
調査の数字は相場の方向を知る物差しとして使い、実際の原価は自社の仕入れ伝票で確かめるのが確実です。
鶏肉が高くなった理由はどこにあるのか
鶏肉が高騰した理由は、ひとつではありません。需要、輸入、為替、コストが重なっているため、短期間で元に戻りにくいと考えられます。
国内と輸入先での鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザは、国内の養鶏場でも輸入元の国でも、供給に影響する要因です。発生した農場では鶏を処分する必要があり、輸入では出荷や輸出の条件が変わることがあります。
鶏肉は消費量の約4割を輸入に頼っています。鶏もも肉をはじめ、ブラジル産やタイ産などの輸入品は業務用で使われる量も多く、そのブラジルからの輸入量が減っていることが国内の需給に響いています。
一方で、国内の生産量は増えています。農林水産省のまとめでは、2025年の国内生産量は173.2万トンとされています。それでも足りないのは、次に述べる需要の動きが大きいためです。
牛肉・豚肉から鶏肉へ需要が移った
物価高で節約志向が強まると、家庭でも外食でも、牛肉や豚肉より値ごろな鶏肉に目が向きます。こうした需要シフトが起きると、供給が同じでも鶏肉の需給は引き締まります。
農林水産大臣は、外食が国産の鶏肉に振り替えた動きも相場を押し上げたとの見方を示していると伝えられています。輸入が細ると外食は国産に切り替え、国産の需要が増えることで、国産の価格にも上昇圧力がかかります。
国産鶏と輸入鶏の価格差が縮まると、安い方へ移ればよいという単純な話ではなくなります。使い分けの考え方は、後半のよくある質問でも触れます。
● 安い方へ移るだけでは原価を守りにくい状況です
円安と輸入の買い負け、燃料費の上乗せ
輸入品は、為替の影響を直接受けます。円安が進むと、同じ数量を買うにも円での支払いが増えます。
加えて、世界で鶏肉を買いたい国が増えると、条件を引き上げた側が仕入れを確保します。日本の買い手が条件で負ける買い負けが起きれば、入ってくる量そのものが減ります。
燃料費や物流費の上昇も、価格に上乗せされる要因です。飼育・加工・輸送のどこにも燃料が使われるため、一度上がった費用は簡単には下がりません。
ここまでの要因の多くは、半年や1年で消える性質のものではありません。
野菜の値上がりは鶏肉と何が違うのか
野菜についても、報道では値上がりが伝えられています。この記事では具体的な値上がり幅や品目別の数字は扱わず、鶏肉との性質の違いを整理します。
品目ごとの平年比の動きは、11月の野菜価格の見通しの解説でまとめています。
天候や産地の状況で動きやすい野菜
野菜は畑でつくる作物なので、猛暑や長雨、台風などの天候に左右されます。産地での生育の遅れや、出荷の端境期(産地が切り替わる時期)も価格を動かします。
こうした要因は、天候が落ち着き、次の産地の出荷が始まれば和らぐことがあります。野菜の高騰は、品目や時期によって差が大きいと考えておくのが実態に近いでしょう。
需給と輸入で長く続きやすい鶏肉
鶏肉は、需要の移動、輸入の事情、為替、燃料費のように、天候よりも構造に近い要因が重なっています。そのため、高い水準が長く続きやすい性質があります。
両者の違いを並べると、次のとおりです。
| 項目 | 鶏肉 | 野菜 |
|---|---|---|
| 主な要因 | 需要の移動、輸入、為替、燃料費、鳥インフルエンザ | 天候、産地の状況、出荷時期 |
| 変わりやすさ | 長く続きやすい | 品目や時期で大きく動く |
| 仕入れ側の打ち手 | 部位や産地の見直し、使用量の調整 | 旬や規格の選び方、カット野菜の活用、数量・時期の相談 |
いまの話と変わらない話を分けて考える
記事の数字や報道は、時間がたてば古くなります。2026年9月の155円や、2026年11月の報道内容は、あくまでその時点の話です。
一方で、鶏肉は構造的な要因で動き、野菜は天候と産地で動くという仕組みは、半年後でも使えます。価格を見るときは、次の3点を確かめてみてください。
- いまの価格は、構造的な要因によるものか、天候などの一時的な要因によるものか
- 高値は何か月続いているか
- 代わりになる品目や規格があるか
この3点で、値上げの検討に進むか、仕入れの工夫で乗り切るかの分かれ目が見えてきます。
両方が上がるとき、メニューの原価をどう組み直すか
値上げか、具材の配分を変えるか
鶏肉と野菜が同時に上がると、鍋物や定食の原価は両側から押されます。選べる手は大きく3つあります。
- 販売価格を上げる(値上げ)
- 肉と野菜の配分を変える
- 使う野菜を別の品目に入れ替える
値上げは原価を直接守れますが、外食では客足への影響が読みにくい手です。配分の変更は、見た目の満足感が下がるおそれがあります。
入れ替えは味の組み立てが変わるため、常連客に違いを気づかれる可能性があります。どれにも副作用があるので、ひとつに絞らず、小さく組み合わせるのが現実的です。
旬の野菜を主役にする考え方
鍋の具材を見直すなら、旬の野菜を主役に据える方法があります。旬の時期は出荷量が多く、味も乗りやすいため、原価と満足感のバランスを取りやすい傾向があります。
たとえば、鶏肉の量はそのままにして、ボリュームを出す野菜を旬のものに寄せる。そうすれば、鶏肉の高値を野菜で相殺しつつ、季節感のある献立として打ち出せます。
ただし、旬の野菜でも天候で価格は動きます。白菜や長ネギなど鍋に使う品目については、鍋野菜の品目別の値動きを品目と地域に分けて読んでいます。どの品目が使いやすいかは時期によって変わるので、仕入れ先と相談しながら決めるとよいでしょう。
品質を落とさずに済む線をどこに引くか
原価を守ろうとして具材を削りすぎると、鍋の魅力そのものが損なわれます。線引きの目安は、お客様が一口目に感じる品質に関わる部分を残し、見えにくい部分で調整することです。
業態によって向き不向きもあります。
| 業態 | 向きやすい手 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 旬の野菜への入れ替え、日替わりの活用 | 看板メニューの味が変わらないこと |
| ホテル | 部位や盛り付けの工夫、季節の演出 | 単価への期待が高く、品質を落としにくい |
| 給食・介護施設 | 献立サイクルの中での野菜の入れ替え | 食べやすさや栄養面の基準を守ること |
業態の条件によって、取れる手立ては変わります。自分の現場ではどこまで動かせるかを、先に書き出してみてください。
野菜の仕入れで見直せるところはどこか

鶏肉の価格は、現場の努力だけではどうにもなりません。一方、野菜は規格や使い方、数量と時期の組み立てで、調整できる余地があります。ここでは、業務用仕入れで見直せる点を3つ挙げます。
用途に合った規格を選ぶ
同じ野菜でも、サイズや等級によって扱いやすさは変わります。たとえば煮込みや鍋に使うなら、形のそろい方より、火の通りや使い切りやすさが大切な場合もあります。
見た目を重視する料理と、切って煮込む料理で、同じ規格を使う必要はありません。用途に合わせて規格を選び分けると、無駄のない仕入れにつながります。必要な規格が分からないときは、仕入れ先に使い方を伝えて相談するのが近道です。
下処理の手間とロスまで含めて比べる
野菜のコストは、買値だけでは決まりません。皮をむく、芯を取る、切りそろえるといった下処理の人手と、廃棄するロスも原価に含まれます。
この点で、カット野菜は選択肢の一つになります。切る作業が減ればその分の人手と時間を他の仕込みに回せますし、使う分だけ仕入れれば、使い切れずに捨てる量も抑えやすくなります。
カット野菜は、買値だけを見ると割高に感じることもあります。人手を換算した作業時間と、廃棄量を含めた総コストで比べることが大切です。どちらが得かは、店の人員体制や仕込みの量によって変わります。
数量と時期を仕入れ先と早めに相談する
価格は、商品・時期・数量によって異なります。必要な数量と使う時期を早めに伝えておくと、仕入れ先も産地の状況を見ながら手配しやすくなります。
高騰している時期だけ慌てて動くのではなく、メニュー改定の前に、どの時期にどの野菜をどのくらい使いたいかを相談しておく。それが、変動の大きい野菜の高騰への備えになります。
仕入れ方法には、市場、卸、産地とのやりとり、通販など、いくつかの選択肢があります。通販もそのひとつですが、品質、規格、必要数量、相談のしやすさを含めて、自社に合う形を選んでください。

よくある質問|仕入れ担当者が迷いやすい点
鶏肉の高値はいつまで続きそうですか
先の価格は断定できません。ただ、需要の移動や輸入の事情のように、短期では消えにくい要因が重なっています。
見通しを当てようとするより、農林水産省の食品価格動向調査を月ごとに確かめ、前年同月比の動きを見ながら判断するのが現実的です。
野菜が高いのも鶏肉と同じ理由ですか
同じではありません。鶏肉は需給、輸入、為替などが主な要因で、野菜は天候や産地の状況で動きやすい傾向があります。
品目や時期による差も大きいため、野菜は一括りにせず、使う品目ごとに確かめてください。
国産鶏から輸入鶏に切り替えれば原価は下がりますか
切り替えだけで解決するとは限りません。輸入の側も、円安や買い負けなどの影響で価格が上がっていると報じられています。
用途ごとに、価格だけでなく、品質や歩留まり(実際に使える割合)も含めて比べてみてください。揚げ物には向くが煮込みには向かないなど、用途によって相性も変わります。
野菜の仕入れコストを抑えるには何から見直せばよいですか
用途に合った規格を選ぶこと、下処理の手間とロスまで含めて考えること、必要な数量と時期を仕入れ先に相談することの3つが基本です。価格は商品・時期・数量で異なるため、希望の条件を伝えて相談するのが近道です。
鍋物など両方使うメニューは値上げするしかありませんか
値上げ以外にも、具材の配分を変える、旬の野菜に入れ替えるなどの選択肢があります。品質を落とさない範囲で、複数の手を小さく組み合わせることを考えてみてください。
あわせて読みたい
北のやさい便が選ばれる理由

鶏肉が読めないときこそ野菜の組み立てを相談する
鶏肉の高値は、現場の工夫だけでは動かせない部分が大きいものです。だからこそ、調整の余地がある野菜側の組み立てを、早い段階で見直す価値があります。
北海道産の野菜を業務用に扱う立場として、鶏肉のように読みにくい食材がある時期ほど、野菜の側で原価を整える考え方をお伝えできます。旬の野菜をどう使うか、どの規格が用途に合うかといった点は、使い方を伺うところから一緒に整理できます。
カット野菜についても、下処理の人手や廃棄ロスまで含めて考えたいという相談に対応できます。買値だけでなく、現場の負担を含めて比べたい方に向いています。
規格や数量を用途に合わせて決めたい方へ
飲食店、ホテル、学校給食、介護施設、仲卸、加工業者など、業態によって求める規格や数量、使う時期は異なります。業態ごとの考え方は、外食産業向けの野菜仕入れのご提案でも紹介しています。
価格は商品・時期・数量によって変わるため、まずは希望の条件を伺ったうえで相談を進めます。鍋物や定食の改定を考えている方は、メニューの切り替え時期の前に、必要な規格や数量についてお問い合わせください。
値上がりが続く時期に仕入れ先と早めに話しておくことは、急な欠品や原価の跳ね上がりに振り回されないための備えにもなります。業務用仕入れについて相談する場としてご活用いただき、使い方と時期に合わせて、野菜の仕入れを一緒に考えていきましょう。
「北のやさい便」は、北海道産野菜の卸売・仕入れのスペシャリスト集団です。
札幌中央卸売市場をはじめ、北海道の真狩村をはじめ、全国の農家さんとの独自のネットワークを活かし、鮮度と品質にこだわった旬の野菜情報を発信しています。
飲食店や食品加工メーカー様の「美味しい野菜を安定して届けたい」という想いに応えるため、市場の相場情報や野菜の豆知識を、現場の視点からお届けします。




